“量子の力”を、未来を拓く力に。
「環境の世紀」が抱える課題に、高度な知識と柔軟な発想でアプローチ。
「量子エネルギー工学専攻」ならびに「機械知能・航空工学科 量子サイエンスコース」の前身は、それぞれ昭和33(1958)年、同37(1962)年に創設された「原子核工学専攻」「原子核工学科」です。主として原子炉利用と放射線応用に関連する教育・研究からスタートし、これまで3,200余名の卒業生・修了生を社会に送り出してきました。その多くは、原子力分野の研究、開発、運用、保守管理に携わり、原子力エネルギーの安全性向上と発展に貢献しています。また、本学で涵養した専門知識と高度な技術、創造力を翼に、国内外の様々なフィールドに飛び出し、活躍しています。
平成8(1996)年の改組では、原子力から「量子」へと領域を拡張し、社会や暮らしに直結する量子サイエンスの工学的応用について探究を続けています。量子エネルギー工学専攻は、量子サイエンスコースからつながる大学院(博士課程前期2年と博士課程後期3年で構成)であり、学部教育で学んだ専門知識をベースに、さらに高度で専門的な研究を、世界を舞台に展開しています。
本専攻の取り組みは、地球環境・エネルギー問題と分かちがたく結びついています。地球温暖化の主な原因物質とされるCO2は、日常生活や経済活動でのエネルギー消費に伴って発生します。地球温暖化・環境問題は、エネルギー問題と表裏一体です。私たちは、その一体的解決の一翼を担う原子燃料サイクルの高度・効率化を目指し、先進的な核種分離方法、放射性廃棄物の先進的な処分システムや、超寿命核種変換のための核融合炉・加速器駆動未臨界炉の研究を力強く推進しています。また、既存の原子炉の安全性向上も重要な研究テーマのひとつです。さらには放射線の高度利用方法として、環境中に含まれる微量元素検出方法や、がん診断のための陽電子消滅方法などにも取り組んでいます。豊かで持続可能な未来をつくる“量子エネルギー”を信じて――確かな歩みを刻んでまいります。