QSE

粒子ビーム工学講座
高エネルギー材料工学分野 (野上(修) 研究室)

巨大科学「核融合炉」の実現に向けたキーテクノロジー、
過酷な環境下で機能する「材料開発」に挑む。

  • 高エネルギー材料工学分野

ミッションは「1億度に耐える材料を開発せよ」。

 日本の代表的なロボットアニメに登場する有人機動兵器は、動力源として「核融合炉」を設備し、タフな闘いを繰り広げていました。フィクションから実用化を視野に入れた未来のエネルギー源へ――現在、国際協力・協働の下、核融合炉の実現に向けた研究・開発が着々と進行しています。

 核融合炉は、「海水中に無尽蔵にある燃料(水素同位体)を利用できる」「温室効果ガスであるCO2を排出しない」「核分裂反応のような連鎖が起きず、原理的に暴走が生じない」など多くの利点がありますが、地球上で原子核融合反応を発生・維持させるためには、1億度ともいわれる高温高密度プラズマを作り出す必要があります。しかし、この温度に耐え得る材料はまだ存在しません。さらに高速中性子を始め、様々な高エネルギー粒子が入射するため、材料の表面が削られたり原子がはじき出されたりします。こうした過酷な複合極端条件下で機能する材料の開発が、核融合炉の実現にとってのキーテクノロジーとなります。

 野上(修)研究室では、材料への独自の知見と、高エネルギー粒子線と材料の相互作用の理解を基盤に、先進的高負荷エネルギー機器において機能と健全性を保つ材料創製に向けた開発・評価に取り組んでいます。また、高エネルギーイオンビーム(ダイナミトロン加速器やサイクロトロン加速器から得る)によるミクロなき裂や隆起を利用した微細加工技術など、実験と計算機シミュレーションを活用した新しい基盤技術の開発も推進しています。夢を夢で終わらせないための挑戦は続きます。

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