量子サイエンスコースの受験を考えている高校生の皆さんへ
量子サイエンスコースは機械知能・航空工学科に属するひとつのコースで、我が国のエネルギーを支える原子力工学を中心とした教育・研究を行っています。
平成23年3月11日の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故以降、原子力をめぐる情勢は大きく様変わりしています。今後も日本は原子力を使い続けていくべきなのかという議論も多方面で交わされていますが、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に依存する日本においては、安定したエネルギー源確保という観点からも、原子力エネルギーはひとつの選択肢として堅持していくべきであると私たちは考えています。
また、世界に目を転ずれば、2050年には96億人(2013年国連予測)に達するとされる人類が、今後も大量にエネルギーを消費していくのであれば、エネルギー資源の枯渇はもはや避けようがありません。持続可能な社会の構築のためにも、限られた資源を有効に使っていく方策が求められます。その代表的なものが原子燃料サイクルです。
他の科学技術と同様に、原子力にも「光と影」の側面があります。みなさんが日頃、何気なく見聞きする情報からは、社会や暮らしに暗い影を落とす存在としての原子力の姿しか伝わってこないかもしれません。しかし、高度経済成長から拡大・発展し続けた日本の繁栄を底支えしてきたのは原子力エネルギーです。世界に誇る原子力技術を今後も維持していくことは、日本が目指す科学技術創造立国を進展させ、国際社会の中で重要な位置を占めるためにも必須の国家戦略です。福島第一原子力発電所事故の経験を真摯に反省し、その教訓をさらなる安全性の向上のための技術開発に活かしていく姿勢と実践が何よりも求められています。また、今後も原子力エネルギーの有用性とメリットを社会実装していくために、多くの優れた人材が必要とされています。
量子サイエンスコースでは、原子力エネルギーに関連した技術だけではなく、放射線の高度利用に関する研究にも取り組んでいます。一例として、医療分野における放射線の診断や治療への応用(がんの早期発見・治療)や高度な元素分析などへの応用研究などが挙げられます。さらに、核分裂エネルギーの次代のエネルギーとして期待と注目が集まる核融合に関しても先端的な研究を行っています。
社会や暮らしを便利に快適に、豊かに変える可能性を持つ量子サイエンスのフィールドで、一緒にチャレンジしてくれる若い力を待っています。