研究の最前線から
半導体結晶を自ら育成し、新しい放射線センサーを開発
室温で動作する半導体ガンマ線センサーの開発をめざす
ガンマ線を計測する場合、その検出媒体としては高い密度を持つ固体が理想的です。固体を用いた放射線センサーの中で代表的なものの一つに、半導体センサーがあります。半導体センサーはガンマ線などの放射線を半導体結晶中で電子・正孔対に変換して電気信号を得ます。半導体センサーは放射線を直接電気信号に変換するので優れたエネルギー分解能を示します。また、電極を微細に加工することができるため、半導体センサーはPositron Emission Tomography (PET)やガンマカメラといった高い位置分解能を必要とする放射線のイメージング応用に適しています。
しかし、広く使用されているゲルマニウム半導体センサーは液体窒素温度への冷却が必要であるという欠点を持っています。そこで、化合物半導体を用いた室温で動作するセンサーの開発が求められています。当研究室では室温で動作するセンサーを実現するために材料開発からセンサー製作、評価までを一貫して行っています。