原子力発電所で発生する劣化・損傷のメカニズムを解明し、
その対応技術や健全性評価技術を研究
「壊れない」「長く使う」「安全に」を研究の3本柱に
質量をエネルギーに変換する原子力は、人類が手にした科学技術の中でも、最も魅力ある技術と言っても過言ではないでしょう。その一方、原子力を利用する過程で放射性物質というハザード(危険源)が伴うため、最も高度な安全性をもって取り扱わなければならない技術でもあります。
また、2011年3月11日の東日本大震災によって発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、原子力プラントの安全運用に対する関心が一層高まると同時に、事故炉の安全な廃炉に向けた研究および技術開発が急務となっています。
渡邉研究室では、原子力発電プラントにおいて、機器や構造物の運用過程における損傷メカニズムの予測(壊れないために)、劣化対策の開発(長く使えるように)、保全技術の向上(安全を守るために)の3つを主要な研究テーマに掲げ、安全で安定したプラント運用の確保を目的としています。さらに、東日本大震災以降、国際廃炉研究開発機構の技術委員等として、廃炉の技術開発にも関わっています。特に、福島第一原子力発電所の廃炉に関してはこれまで人類が経験したことのない技術的挑戦であり、克服しなければならない重要な課題でもあります。
原子力を積極的に利用するにせよ、縮小・廃止の方向に向かうにせよ、安全性を確保するための技術研究は継続しなければなりません。それは、長期にわたり地道に課題を解決していく長い道のりでもあり、まさに50年後、100年後を見据えた息の長い研究なのです。